- 本タスクは部屋の片付けを通じて,物体認識と物体把持にフォーカスする
- 本競技のルールは,World Robot Summit 2020 の World Robot Challenge の競技の一つ,Tidy Upのカスタマイズ版である
- このドキュメントはタスク内容の理解を助ける概要版です.正式なルールはこちらをご覧ください
- ドキュメントの準備には注意しておりますが,もし概要版と正式ルール版で矛盾がある場合,正式ルール版が適用されます
- セマンティックマッピング
- 未知物体認識
- 物体把持
- パスプランニング
- HRI
このタスクは大きくTask 1とTask 2に分けられ,Task 2はさらにTask 2aとTask 2bに分けられる
Task 1は15分間である.Task 1はリビングルームを模した部屋(Room 1 : Living Room)で行われる.Task 1では,ロボットはテーブル(Long Table B)の上(= Search Area)に並べられた物体の片付けを行う.テーブルには5つの物体が置かれ,そのうち4つがKnown object,1つがUnknown objectである.Unknown objectを含む全てのKnown objectには「Food items」「Kitchen items」「Task items」の中から1つの物体クラス(Category)が割り当てられている.それぞれのクラスには次のように収納場所が定義されている.正しい場所へ収納すると,得点が得られる
物体クラス(Category) | 収納場所(Deposit) |
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Food items | Tray A または Tray B(どちらも Long Table A 上) |
Kitchen items | Container A(Long Table A上) |
Task items | Bin A |
Unknown object | Bin B または,正しい Category の収納場所 |
このタスクでは,次の点数計算が行われる
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物体を把持し,収納場所まで運搬した場合(Delivery)→ GraspとPlaceの2つの点数に分ける
- 物体を把持した場合(Grasp):5点
- 物体を運搬し,設置・収納した場合(Place):5点
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物体を運搬した収納場所が合っていた場合(Category):+10点
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物体を把持したが,物体を落とした場合
- その後,次に同じ物体を把持した場合:ペナルティはない
- その後,次に別の物体を把持した場合(Drop):Dropのペナルティが課せられ,運搬した物体の点数がx0.5となる.なお,1つの物体を運搬するまでに複数回物体を落とした場合でも,Dropのペナルティは1度のみである
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ロボットが物体と接触した場合
- ロボットのハンドが,物体に接触した場合(把持のために接触した場合を想定):ペナルティはない
- ロボットのハンド以外の部分が物体に接触した場合(Hit):Hitのペナルティが課せられ,運搬した物体の点数がx0.5となる.なお,1つの物体を運搬するまでに複数回物体に接触した場合でも,Hitのペナルティは1度のみである
またTask 1では,時間内であれば無制限にリスタートを繰り返すことができる.リスタート時,ロボットが持っている物体を持たせたままにするか,取り上げるかはチームが選択して良い.ただし取り上げた物体は,その後アリーナの外で保管すること.このTask中で取り上げた物体は使われない.
- リスタート後,最初の物体の運搬時にペナルティが課せられる(Restart):x0.5
さらにボーナスとして次の得点が得られる
- 14分45秒までにすべての物体を正しい場所に収納した場合,ボーナスで50点(Finishing the task within the time limit (15 min - 15 sec): 50 points)
Task 2は5分間である.Task 2はさらにTask 2aとTask 2bを内包している.
ロボットは一方の部屋(Room 1 : Living room)からもう一方の部屋(Room 2 : Dining Room)へ移動する.この時に通過する空間(Obstacle Avoidance Area)には3つのKnown objectが置かれている.ロボットはこの物体を避けながら移動する必要がある.
このタスクでは,次の点数計算が行われる
- 1度も物体と接触せず,部屋間を移動できた場合(Successfully entering to the dining room to the goal location and without collisions):50点
1度でもObstacle Avoidance Areaの物体に接触すると,Task 2aの得点はない.例えば,1度物体に接触した後に,Task 2bでリスタートを実施して,その結果Obstacle Avoidance Areaを物体と接触することなく通過したとしても,50点は獲得できない
ロボットは,棚(Food Area)に並ぶ物体から事前に指示された物体の1つを正しく見つけ,それを2つのイス(Delivery Area)に座る人のうち,手を振っている人に渡す.Food Areaには2つのKnown objectと1つのUnknown objectが置かれる.Food Areaに置かれる3つの物体はFood itemsに限定されない.また,お互いに別の物体を隠すように置かれることはない
このタスクでは,次の点数計算が行われる
- Food Areaに置かれる物体のうち1つを把持した場合(Taking any food item in the shelf):20点
- 把持した物体が正しいものである場合(Taking the requested object among many objects in the shelf):+30点
- ロボットが物体と接触した場合
- ロボットのハンドが,物体に接触した場合(把持のために接触した場合を想定):ペナルティはない
- ロボットのハンド以外の部分が物体に接触した場合:Hitのペナルティが課せられる.このペナルティは最大4回である.次の計算式でTask2b1の計算が行われる
- Task2b1の得点=(1 - 0.25×接触回数)×(「Food Areaに置かれる物体のうち1つを把持した場合」の点数+「把持した物体が正しいものである場合」の点数)
- Delivery Areaの人へ物体を届けることができた場合(Delivering the object to a person in the delivery area):20点
- 届け先の人が正しい人(手を振っていた人)である場合(Taking the requested object among many objects in the shelf):+30点
- ロボットが物体と接触した場合
- ロボットのハンドが,物体に接触した場合(把持のために接触した場合を想定):ペナルティはない
- ロボットのハンド以外の部分が物体に接触した場合:Hitのペナルティが課せられる.このペナルティは最大4回である.次の計算式でTask2b2の計算が行われる
- Task2b2の得点=(1 - 0.25×接触回数)×(「Delivery Areaの人へ物体を届けることができた場合」の点数+「届け先の人が正しい人(手を振っていた人)である場合」の点数)
Task 2bについて,リスタートは可能である.Task 2bでリスタートした場合,特に得点に関するペナルティはない.ただしタイマーは停止せず,カウントダウンを継続する.またリスタートの際,棚の物体を並べ替えることは禁止される.ロボットが物体を把持していた場合,そのままロボットに持たせるか,ロボットから物体を取り上げるかはチームが選択して良い
Task 2について,さらにボーナスとして次の得点が得られる
- 5分45秒までにTask2が150点を獲得した場合(Finishing the task within the time limit (5 min - 15 sec)):25点
- 上記を満たしている場合,さらに1分につき10点(If any time remaining, add 20 points per minute)
このタスクにはバイパスルールが適用される
アームを搭載していないロボットや,アームを制御できないロボットが出場する場合において,物体把持が求められる状況に直面した時,それ以上タスクを遂行することができない.バイパスルールとは,競技会で可能な限りロボットのパフォーマンスを披露するため,ロボットがアーム制御までのタスクを達成した場合,アーム制御のみをスキップする(バイパスする)ルールである.このルールでは,物体を正確に認識できたことを明示的にレフェリーに示すことができた場合,バイパスルールを適用することで,ロボットがアームを制御する代わりに,レフェリーやオペレーターが物体を把持して,ロボットはタスクを続行することができる.但し,バイパスルールを適用した場合,物体把持に関する得点は加算されない.
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Task 1
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ロボットが物体を把持できない場合,ロボットが明瞭に,かつ正確に物体の場所(「ロボットから見て真正面にある」「テーブルの右からN個目」等)と名前を伝えることが出来る場合,ロボットは把持をバイパスすることができる.ロボットは,例えば,物体を指して,あるいは明確に対象物体の方向を向いて「目の前にある○○という物体を私に乗せてくれ」等と伝えなければならない.この指示が誤っていた場合,レフェリーはロボットを手伝うことができない.
- この場合,Graspの点数は0点である
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またロボットが物体を設置できない場合,ロボットが明らかに物体を収納する場所に来て「私が持っている○○という物体を,目の前のXXへ収納してくれ」等と伝えた場合,レフェリーはロボットを手伝う.すなわち,レフェリーが物体設置時にロボットを手伝うには,下記の条件を満たしている必要がある
- ロボットが,自分が持っている物体の名前を正しく言う
- ロボットが,収納して欲しい場所の名前を言う
- ロボットが,明らかに,上述した「収納して欲しい場所」の前にいる
これらの条件を満たしたとき,レフェリーはロボットを手伝う.
- その結果,ある収納場所に物体が収納された場合でも,Placeの点数は0点である.
- ただし,正しい場所に正しい物体が収納された場合,Categoryの点数は加点される
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Task 2b
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ロボットが物体を把持できない場合,ロボットが明瞭に,かつ正確に物体の場所(「ロボットから見て真正面にある」「テーブルの右からN個目」等)と名前を伝えることが出来る場合,ロボットは把持をバイパスすることができる.ロボットは,例えば,物体を指して,あるいは明確に対象物体の方向を向いて「目の前にある○○という物体を私に乗せてくれ」等と伝えなければならない.この指示が誤っていた場合,レフェリーはロボットを手伝うことができない.
- この場合,Taking any food item in the shelfの点数は0点である
- 同様に,Taking the requested object among many objects in the shelfの点数も0点である
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ロボットがDelivery Areaで人に物体を渡す際,ロボットが物体を把持できない場合,下記条件を満たしているならばDelivery Areaの人はレフェリーによりロボット上の特定の場所に置かれた物体を,渡されることなく受け取ることができる
- ロボットが明らかに,人の前にいる
- ロボットが「私の○○に載っている物体を受け取ってくれ」と伝え,その場所に物体が載っている
その結果,正しい人物が正しい物体を持つことが出来た場合,次の点数計算が行われる
- Delivering the object to a person in the delivery areaの点数は0点である(ロボット単独でDelivery出来ていないため)
- Correctly detecting a person’s request and giving the item to her/himの点数30点が加点される
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競技の数日~数週間前
- 各チームには,Known objectsのリストがインターネット上で渡される.各チームはリストの物品を購入して運営へ報告すること.また,購入後はすぐに各チームで使用して良い
- 各チームには,Unknown objectsの現物が運営委員より郵送で届けられる.運営委員より指示があるまで,各チームは箱を開封してはならない
競技の30分前から
- 運営委員はオブジェクトの初期設置場所を各チームへ伝えるので,各チームはその通りにオブジェクトを並べなければならない
- Search Area(Task 1)
- 運営委員からは,オブジェクトを並べる順番のみ指定する.どのように置くかはチームが決めて良い
- Obstacle Avoidance Area(Task 2a)
- 運営委員からは,使用するオブジェクトのみ指定する.どのように置くかはチームが決めて良い
- Food Area(Task 2b)
- 運営委員からは,使用するオブジェクトと配達するオブジェクトのみ指定する.どのように置くかはチームが決めて良い
- Search Area(Task 1)
- 運営委員は各チームへUnknown objectsの番号を指定するので,各チームはその番号の箱を開け,中のオブジェクトを取り出し,運営委員の指示通りに設置しなければならない
- スコアシートにはこちらのものが用いられる