ピューロランド最大のエンターテイメントがパレード Believe であるとするならば、サンリオ本社最大のエンターテイメントは株主総会である。というわけで2013年6月27日14時から15時50分までパルテノン多摩の大ホールにて行われたサンリオ第53回定時株主総会のメモです。
総会なのにすごく和やかだったかな。経営が上向いていることとや個人株主が減ったこともあるのだろうけれど、 small gift, big smile の言葉をふんだんに使っていたおかげでもあるのかなと思った。
ご出席たまわりまして誠にありがとうございます。
古橋取締役からの報告。全株主数は3万264人で権利数は88万1316口。昨日までに権利行使済み、または出席した株主は6471人で74万7496口。定足数に足る。
千葉常勤監査役からの報告で問題なし。
江森常務取締役からちょこっと話があった後に PowerPoint による事業報告。今年の BGM は『不思議の国のハローキティ』でシアター退場時の曲を延々ループ。
- 売上と営業利益
- 微減だが営業利益は過去最高で201億円
- 国内売上が2%減で国外売上が1%増
- イタリアやスペインの経済危機により減少
- 北米ではウォルマートが牽引
- 国内営業利益が5.8%も伸びたのは主に海外マスターライセンスのおかげ
- 国外営業利益はユーロ安の影響で欧州27.4%減で北米はウォルマートのおかげで63.8%増
- 経常利益
- 為替差損によって、営業利益の伸びほど伸びておらず196億円
- 純利益
- 本社移転や遊休資産減損により前年に比較して12.8%減少して125億円
- 貸借対照表
- 有利子負債が大きく減少
- 利益剰余金が大幅増し自己資本比率が6割にまで改善し無借金経営になった
- 海外別売上高
- 南米ライセンスが62%増
- 海外のライセンス、イベント、コラボレーション
- マレーシアで2012年10月に屋内型テーマパーク Sanrio Hello Kitty Town がオープン
- 製造拠点を香港にし、アジア各国に展開
- 現地通貨ベースでの売上高
- 北米ライセンスは4割の伸びだが物販は伸びず
- イタリアとスペインの不景気で16%減
- ほかの欧州で伸びはしたが補えなかった
- 国内売上
- 不採算店舗の退転などにより減収増益
- 観光地や好立地に出店
- ピューロランド
- 15億円をかけてリニューアルし新エリアのサンリオタウンを7月20日にオープン
- サンリオタウンにより売り上げが44億円から55億円に伸びると予測
- 15億円をかけてリニューアルし新エリアのサンリオタウンを7月20日にオープン
- 中期経営改革 新Project2015
- 営業利益210億円を目指す
- 地域拡大、許諾製品拡大、ベストマッチキャラクター活用
- 昨年度実績が188億円のため1年前倒しで来年には達成見込み
- 2015年は投資をするためやや減る可能性あり
- 配当
- 当期は中間20円と期末25円で、来期は中間30円と期末30円の見込み
- 株主構成
- 海外の株主が増えている傾向が続いている
- 個人は2800名減少で持ち分は2ポイント減少
ライセンスビジネスへの転換がうまくいっているようである。ピューロランドの売り上げを44億円から55億円にまで伸ばすのは目標が高すぎるように思えるが頑張ってほしい。
例年に比べて質疑が少な目。時間も短く25分くらいだったか。
- 質問者: 座ったまま質問してもよいでしょうか。ユーロ安で欧州の営業利益が27.4%減少となっている。報道によると国民の流出が続いているらしい。トルコでは紛争があるため、楽しんでお買い物をしているどころではない。中国の人はサンリオグッズをよく買ってくれたりするが、反日活動もある。国外でのリスク対策を聞きたい。
- 信太朗: ご存じのとおりサンリオはキティを通してみなが仲良くなっていくことを願っている。中国でのキティ人気は落ちていない。トルコのイスタンブールではキティの店が出店して盛況である。キティ人気は上げっているわけでもないが衰えているわけでもない。人気が出るように会社を一生懸命やっている。
- 質問者: 紛争にあった人を助けてほしい。
- 信太朗: それまではやってませんけども(会場笑)。国ごとに問題はあるので、サンリオとしては政治的なことまでもはタッチできない。
- 質問者: ピューロランドに呼んだりしてはどうか。
- 信太朗: 来てくれるといいですね。
昨年最初に質問していた人と同じ苗字なので同じ人かな?でも慈善活動じゃないからしゃーないわな。
- 質問者: 鳩山氏の経歴に新体制準備室というものが今年追加されているが、どういう部署なのか。キティ40周年には何をやるか。ハーモニーランドに5月に行った。パレードノアのフロートに Nal と書かれており、働く女性を応援する団体のようであった。その団体のついて調べてみたら住所がサンリオと同じであった。サンリオとの関係と活動内容を教えてほしい。
- 信太朗: 40周年はいろいろ計画しているが、インサイダー情報になるので言えないが期待してほしい。40年も持つのはすごいことで、通常のキャラクターは5年も持たない。キティは40年も持っており109か国に展開している。日本の生んだ世界のキャラクターだ。Nal は誰だったかな。(後ろを振り返って30秒ほどごにょごにょ)
- 江森: Nal は女性の子宮頸がん予防やコーチングなどに携わっているサンリオのグループ企業の一つである。
- 信太朗: 江森は男だから子宮頸がんのことまでをよくわかんなくても仕方ない(会場笑)。Nal は約3年続けている。
- 信太朗: 新体制準備室については鳩山から。
- 鳩山: 事業報告のビデオにあった2015年向け中期計画の策定や実行をしている部隊であり、今年一年の時限部隊である。
- 信太朗: 計画の内容は具体的に言えないが期待してほしい。
細かいことに気付くなあ。ググったところ Nal の Web サイトは http://nal64.com/ のようだ。Hellosmile の衣装を着たキティをたまに見かけるが、そのプロジェクトにも携わっている会社っぽい。
- 質問者: サンリオ好きが高じて株を始めた。三重県から今年初めて総会に来た。今日はピューロランドで娘がキティちゃんに「借金を返して偉いね」って言っていた。同じく三重県の人が今日ピューロランドに来たが、休園で入れなかった。株主ではなかったためだ。総会の日は休園にしないで一般の人もはいれるようにしてほしい。
- 信太朗: (周囲の取締役に「いいよね」と何回か確認をしてから) 分かりました。来年からは休園にしなくていいように頼んでおきます。(後ろのほうを見て) いいすか? (困惑する取締役たち)
去年までの株主入場券には日付が入っていたのに、今年の入場券には日付が入っていなかった。まさか前触れ?毎年のことであるが、総会の日は平日であるが学校を休んで来ているであろう子供たちがたくさんいるので、株主向けのみの営業にはしないほうが教育上よいのかもしれない。
- 信太朗: かわいいお嬢さん (低学年女子小学生?) に質問させてもいいでしょうか。(会場拍手)
- 質問者: (携帯電話の文字を読み上げながら) この前お舟に乗ってたら脱線した。従業員さんがあわてていて、何を言っていたのかわからなった。 (会場笑)
- 信太朗: とんでもないねそりゃ。 (会場笑)
- (壇上後方の誰か、佐藤館長?): ボートライドは脱線することはなくても止まることはある。従業員は安全に案内することになっているのが、それができていなかったようなので申し訳ない。
- 質問者: これからは子供にも分かるように話してください。 (会場拍手)
- 信太朗: 事故の防止だけは厳重にやっている。万が一のことがあってはいけないからだ。アトラクションだけでなく飲食もである。事故が起きたらつぶれてしまう。ピューロランドで一番心配しているのは事故のことで、滑り台などの危険な乗り物はピューロランドには一切入れていない。何しろ子供さんがたくさん来るところなので。
佐藤館長、壇上にいらっしゃったかな?自分は前方に座っていたので、壇上の奥に座っている人は見えず。そういえば佐藤館長が常務取締役を退任することになっていたが、館長相当の役割を担う人は今後どうなるのだろう。誰もこの件について質問していなかったし、どうなることやら。
- 質問者: 国内売上が右肩下がりだ。国内事業を伸ばす計画を具体的に聞きたい。個人株主が減っている。株主の減少傾向をどのように考えているか。株価が高いので株式分割や売買単位を小さくするなどの計画はあるか。
- 信太朗: 国内売上が悪い状態が続いていたのは、安倍内閣よりも前では経済が最悪だったことによる。最近は景気も良くなったことで売り上げが伸びてきている。なので今年の決算には期待してほしい。個人株主の減少は頭の痛い問題だ。ここにきている皆様は株が高くなっても売らずに来てくれているので感謝している。増配の計画はある。とにかく売らないでもらいたい。子供にサンリオ株主であると言えば、「お父さん、偉いね」といわれるような銘柄にしたい。だが株価が上がっているので個人が減ってしまっている。かといって新しい株主を得るために株価を安くするわけにもいかない。発行株数を増やすなどのおかしな手を打つと、不利になる人もでてくるので模索中である。個人株主を増やしていかないといけないと思っている。現に株主優待券の使用枚数が減ってきてしまっている。現状の株価は高くて50万近くかかってしまうのでも、とにかくお金を貯めて買ってください。浮遊株がたくさんあると外人に持っていかれるので、売らないように。
- 質問者: 総会が14時からとなっているが、もっと早い時間に開催してほしい。
- 信太朗: 今日は株主総会の集中日。10時に始めると他の総会に取られて人が集まらない(会場笑)。たくさんの人に来てもらうためにこの時間にやっている(会場拍手)。
- 質問者: 社長が元気で70歳とは思えない。
- 信太朗: 86歳である。昨日床屋に行ってきて逆の68歳のようにしてくれと頼んできた(会場笑)。年齢を誤魔化すのは難しい。株だけ誤魔化そうと思っている。 (謎)
当日のショースケジュールでは2時から4時までの間、ショーもグリーティングも普段通りの過密時間帯のままであり、総会に行かせたくないんじゃないかと思えるような編成であった。一方で開館の9時から『キキ&ララの星空の旅』の1回目である11時10分までは暇でしょうがなかった。総会の日は普段通りの編成ではなく、総会の時間帯からショーやグリーティングをずらしてくれるとうれしいな。
- 質問者: ピューロランドには年間パスポートでいつも遊びに行っている。誕生日も毎年行っている。今日は従業員の対応が素晴らしかった。先日はバースデーカードを下げていたのにシールを貼ってくれる人がいなかったが今日は貼ってもらえた。キティさんが大阪に出稼ぎに行っている某テーマパークでは、トイレ清掃員もおめでとうと言ってくれる。ピューロランドは15億円をかけて設備をそろえるよりも、従業員の心のこもった一言が出るように従業員を教育してほしい。
- 信太朗: 教育をあまり強くやるわけにもいかないが、よく言っておく。
シールを貼るという行為はコミュニケーションのきっかけとするものであって、コミュニケーションをとれているのであればシールを貼られなくてもいいんじゃないですかね、と慰めておく。
- 質問者: 新聞にピューロランドが初黒字との記事があった。20年も経ってやっと黒字に乗せられた秘訣を聞かせてほしい。
- 信太朗: 新聞は間違い。まだ黒字化してないんです(会場笑)。来月20日に向けて大改装をしていて、そのあとにお客さんが予想通りに来ると黒字になる。昔は黒字だったが初期の設備投資の借金を返すために赤字になっていた。ハーモニーランドも今期でやっと黒字になる予定だ。
例年の総会の質疑でいつも言われていた、テーマパークの赤字を何とかしろ、とか、テーマパーク事業をやめろ、とかがこれで言われなくなるんですかね。いいことです。なので皆さん通いましょう。
- 取締役10名選任
- 辻信太朗、辻邦彦、江森進、福嶋一芳、鳩山玲人、中谷隆英、宮内三郎、崎山裕子、古橋良雄、花堂靖仁
- 退任取締役に対する退職慰労金支給
- 佐藤誠、佐々木章人、山口政洋
どちらも拍手で可決。
昨年は質疑の最後に議長自らが質問していくつかの役員にしゃべらせていたが、今年は全役員にしゃべる機会を与えていた。合計で30分近くもあり、初見の内容もあって聞きごたえのあるものであった。
- 信太朗: 僕がしゃべってばかりだと、サンリオの運営を年取った社長だけが全部をやっているかのように思われてしまうので、今日は特別に各取締役から仕事内容や抱負を語ってもらおうと思う。今の業績を築いた副社長は最後にゆっくりと。
- 主に3つの仕事をしている。まずは中期経営計画。1年前倒しで達成見込みである。グローバル・日本に限らずいいお客様に恵まれたことによるものだ。次に広報・IR。マスコミや証券や金融の関係者などにサンリオの良さを広めているところだ。手前味噌ではあるが雑誌やレポートにサンリオが取り上げられることが増えていると感じている。最後に法務。サンリオは著作権や商標権が会社の宝である。これらを上手に使ってもらうことでお互いにビジネスができるようにしている。そして侵害には厳しく対応していく。
- 福嶋: 国内ライセンスを担当している。37年間営業関係をやってきた。他社とのコラボレーションや企業特注などを行っている。銀行では9行と取引があり、最近では大分銀行でマイメロディ、富国生命でキティを使って貰ている。今はローソンでキティの絵皿がもらえるキャンペーンをやっている。「福嶋君、キティのおかげで売り上げが2倍だよ」と言われた。三菱自動車のキティミラージュや花王石鹸ビオレのマイメロディも出す予定。去年も言ったが6月は切手が出る季節だ。昨年も切手の出来が素晴らしいといったが、今年はもっと素晴らしい。キティ、マイメロディ、リトルツインスターズの3アソートになっている。ピューロランドでも売っている。6月21日に販売を始めており、郵便局曰く昨年に比べて2倍強の売り上げだそうだ。
- 信太朗: 補足。シートだけでなくセットでも売っている。セットは売り切れが続いているので、その際はバラのを。
- 取締役を承認いただきありがとうございます。チャレンジ、変革、イノベーションをモットーにして業務に励んでいる。Small gift, big smile の理念を日本だけでなく海外に広めようとしている。その理念をどうやって届けていくのか、キャラクターの価値をどうやって上げていくのか、が課題だ。北米と欧州を中心にして活動している。キャラクターの買収なども進めている。アニメや映画などへの挑戦もしていっている。
映画については総会だけでなく2012年12月の東洋経済でも触れられていたが何のキャラクターかは明言していなかった。だが5月の決算説明会 (動画の30分ごろと65分ごと) によると Mr. Men のように聞こえる。
- 経理を担当している。ビデオにあったように財務基盤の強化で実質無借金経営になった。今後も収益性の高い企業として株式市場で人気となり続けたい。
- 国内の物販を担当。最近のサンリオの決算では減収増益の傾向があるが、いつまでも減収増益を続けていくことはできない。今年から売り上げを増やす方向にも持っていきたい。円安効果により海外ツーリストが増えており、キティのお土産を買っていってくれる。そのため都内や大阪で数字が伸びており、ツーリスト向け商品の開発していっている。
- 国内ではマイメロディとリトルツインスターズの人気がよく出てきている。20代と30代の女性に人気のようで、その層をターゲットにした街中の店舗を開発していっている。子供向け商品は百貨店で展開していっている。イオンモール幕張新都心に出店予定の店舗ではイベントノウハウを取り入れたものを計画しており、エンターテイメントを含めた売り場にしたい。その幕張が今後の店舗のモデルになると思っている。
去年の総会メモで宮内取締役の発言に対して
数年前にエンターテイメントショップという枠のフラッグシップ店が何店かありましたが、そういうコンセプト店を今後も出していってほしいなあと個人的には思ってます。
とコメントを書いたのがきっかけ、なわけないか。
エンターテイメントショップであった港北ギフトゲートがあったことが自分がピューロランドに通うようになった一つのきっかけだったので、エンターテイメントショップの形式が復活してほしい。今ではキティパラもないし現場以外でキャラクターに会えるための場として。
- 既存キャラクターの育成と新規キャラクターの開発が業務内容である。先輩デザイナの作ったキャラクターを一生懸命育ててきた。現在の3大キャラクターであるキティ、マイメロディ、リトルツインスターズが世界でグローバルに活躍していっていることをうれしく思っている。80年代に人気がなくなった時に、ファンの皆様から応援され、株主に叱咤激励されたことが今になって花開いた。
- 今後新規キャラクターを作っていかなければならない。今期は大型新人のぼんぼんりぼんがいる。まだデビュー半年だが、ネーミングもよい、とか、今までになかった色合いである、といった点で褒められているという話を聞く。下期には今以上に活躍すると信じており、4番目のキャラクターになると夢を見ている。株主にも後押しをお願いしたい。今はピューロランドでグリーティングをしているが、仲間を作り仲間と一緒に必ずや下期にはショーを作っていきたい。
ピューロランドでのキャラクター追加やショーは初耳。グリーティングだけだと性格がつかめないので、どんどんショーに出して成長させていってほしい。
- 海外を担当している。アメリカや欧州は仕込みが大方終わりかけているが、伸び率はまだ大きい。トルコなどの中東はライセンスが広がってきており絶好調である。モスクワでもビジネスを始めていたが、店舗やライセンスを広げている最中だ。今最も力を入れたいのはアフリカである。北アフリカではとんどの国でビジネスをやっており、南アフリカも大体の国でやっているので、真ん中あたりを攻めていきたい。アイボリーコーストに今年から出店する。そのあとはエチオピア、ナイジェリアだ。社長の辻が109か国と言っているが、現在は120か国になっている。南米もほとんどの国でビジネスをやっている。あとはアジアとアフリカだ。
- 海外に行くときはその国のどこに行けばサンリオ関係のショップやレストランがあるかを総務に聞けばお教えする。
- 信太朗: 社外取締役で、持続可能な経営やグローバルで成長し続けることを提唱してくれている先生である。
- 花堂: 紹介で言い尽くされてしまったが。社外取締役なので一見して何も担当することがなくて暇なのではと思われているかもしれない。この会社がなぜこんなに強いのか、なぜこんなに愛されるのか、をはっきりさせていくのが自分の仕事である。いい結果を残して会社を存続させていく。半世紀も続けているのは並大抵のことではない。他の会社の取締役もやっているが、株主総会がこういう形でできるのは日本の中ではほかの会社にはない。世界でもないだろう。これもソーシャルコミュニケーションの成果である。Small gift, big smile の実現に向けてこれからもがんばっていく。
- 信太朗: 国学院大学と早稲田大学の名誉教授でもある。
- 信太朗: 総務の古橋から総括まとめを。
- 古橋: こういう展開になるとは思ってなかった。総務、人事、情報システム、内部統制、リスク管理、コンプライアンスなどの守りのほうを担当している。人材教育には力を入れていかないといけないと考えている。グローバル人材の育成が必要だ。また女性の登用も必要である。社員の半分が女性であり、それらを戦力化することが重要。女性が働きやすい職場を築いたり、研修の充実化などを行うことで女性の管理職を増やしたい。役員全員が一丸となって業績を発展させたい。今後ともご指導をお願いしたい。
ちょっと一言だけ言わせて。情報システムは守りじゃない。2015年の投資に情報システムが入っていたはずなので、攻めに移ってくれ。
- 三菱などの銀行からは総会で大きなことを言うなと注意されており、出す数字はいつも小さめにしている。このことは不満で本当は夢をもっと語りたい。発表できなくて申し訳ないが、まだまだ隠されているぞと思って期待してください。
「このごろ思うこと」の題で20分ほど社長が喋りまくる。
- 去年の総会のころは不況だった。アベノミクスで急激な円安になり、特にトヨタなのどの自動車産業は未来が明るくなった。消費者も海外旅行や高額商品を買うようになった。経済状況が良いときであっても人と人のコミュニケーションは大事で、親や兄弟と仲良くなっていただきたいと思っている。Small gift, big smile でもって誕生日や人を訪問するときはかわいいものを持って行ってコミュニケーションを取ってほしい。
- 中国の明の時代に菜根譚という本が書かれた。その内容をわかりやすく噛み砕いた本の『菜根譚』が20万部も売られている。本の内容は、心から話し合える友がいることは幸せ、ありがとうという心、家族を大切にしてくことは重要である、といった小学生でも知っているようなことが書いてある。年齢に関係なく皆に読んでもらいたい。
- みんなのたあ坊シリーズはほかに3冊あり、『賢人訓』と『哲人訓』と『握れば拳 開けば掌』 (404) がある。皆さんに読んでもらいたいので、通常800円のところを総会会場の入り口で700円で売っているので (会場笑) ぜひ買ってください。
総会が終わった後は会場の物販コーナーで社長の本が飛ぶように売れていた。クジの列より長かったし。
- 今回が53回目の株主総会である。今から50年も前に、かわいいものを上げることでソーシャルコミュニケーションというギフトビジネスたのめに会社を作った。ビジョナリーカンパニーという言葉があり、50年続いている卓越した未来志向型企業のことを指す。ビジョナリーカンパニーはアメリカにも20社しかない。銀行も保険も少なくなった。サンリオのように50年も続けている会社はほとんどない。
2013年3月決算説明会での「この頃思うこと」でも冒頭 (動画の33分ごろ) でビジョナリーカンパニーから切り出している。株主総会の「このごろ思うこと」とはまた違った内容なので興味あれば見るとよし。
- 楽しいものや美味しいものを作ろうとしているのではなく、仲良く助け合って生きていくことを目指している会社がサンリオで small gift, big smile を精神としている。それにはコミュニケーションが大切。コミュニケーションといっても Facebook とかではなく、実際に人を訪ねたり誕生日、入園、入学にギフトを送ることをビジネスとしている。このビジネスをまねされて同業者が出てくるといいなとも思っていたが出てこなかった。120か国の企業が small gift, big smile を広めようとしている。仲良くなるビジネスを進めていきたい。
- 皆さん株主は、そのような会社の株を持っているお父さんとして、子供から慕われることだろう。株主優遇対策をしていくので株を売らないで、周りの人にも株を進めてほしい。そうなるように施策も進めている。
- もう一つ、サンリオタウンについても触れたい。7月20日にオープンする。ピューロランドはコミュニケーションのためにも子供を連れてくる場所としてよいように、危ない乗り物ではなくショーを主体としたテーマパークとして20年以上続けてきた。ところが最近調査をしたところ、実は子供ではなく20代30代の成人女性がメイン顧客であることが分かった。どうやら子供が来る場所ではなかったようで、大人が楽しめる場所に作り替えないといけない。今回退任した佐藤館長がリーダーとなって改装を行っている。
- そのような大人がキャラクターに会いに行くための場所になる。キャラクターに会いたいという大人がいるなんて信じられないかもしれないが、子供のころから好きだったのちにお金も自由もできた今になって総本山のピューロランドに会いに来るようになったのだ。昔からのファンの人が来ても感動できるような場所を目指している。
ピューロランド内の票だけに限ったキャラクター大賞の中間発表では、子供票で上位となるジュエルペットやぼんぼんりぼん、男性票で断トツの1位となっているシナモンが、ピューロランド総合では上位に入っていないことからしても成人女性が多勢を占めていることがうかがえる。ターゲットのペルソナが語られたことにより、サンリオタウンのキャッチコピーが「世界でいちばん、サンリオな場所。」となっていたこともうなづける。
- サンリオタウンはキガネさん、トヤマさん、アリヤマさんが一年以上かけて設計をしてきた。今まであったキティの家ではなく宮殿を建て、他にはマイメロディのお庭を6台の車で中を巡り歩くアトラクションや、キキララの雲のおうちの中をのぞき歩くアトラクションもある。工事を4か月進めてきて、昨日現場を見てきた。詳しくは言えないが良いものに仕上がってきている。
3名の設計士のお名前が間違っていたらすみません。間違っていたらご指摘ください。
- サンリオは広告する会社ではないがサンリオタウンは電通と組むことにした。nakayoku のビジネスは広告をするようなものではないが、今ならお金もたくさんあるし (会場笑) 広告を出してみようと思った。サンリオタウンを早い時期から宣伝を出したいと電通に伝えたら20億円もかかると言われた。広告のことはよくわからないので、電通の言う通り7月15日から広告を出すことに決定した。その日からは大々的に宣伝をする。
- ピューロランドを作ったときはショーもいいが、キティちゃんランドあるいはサンリオランドにしようという考えもあった。だがピューロランド設立時のおかしな調査によって子供を対象にしろという結果が出て、ピエロランドというピューロランドにしてしまった。昔からサンリオは広告が下手で、今回は電通が入って直してくれることになっている。3人の天才設計士が一生懸命作ったので、リニューアルオープンにはたくさんの人を連れてきてほしい。
- リニューアルによって入場者が3割増えると佐藤館長は考えており、その3割が実現することで新聞に載っていた黒字となる。自分は5割増えると思っている。ただ6000人以上が館内に入るとすぐに消防庁に怒られる。法律は守りたいので6000人入ったら入れ替えるなどの施策を考えている。なのでこうして大々的に宣伝を打てるようになった。そうしてたくさんお客さんが来るようになったら、入場料を安くしたり改装や近隣用地の買収を検討したい。
- ハウステンボスなどは自治体が応援してくれている。ピューロランドは積極的に多摩市に貢献しているのに、多摩市にはあまり応援してもらってない (会場笑)。今度市長に会いに行ってお願いしてくる (会場拍手)。今では多摩市はおじいちゃんおばあちゃんの街となってしまっている。ピューロランドがあれば若い女性が増えることになるので、市長に少しは応援してよと言いたい。横浜市からは応援してやるから来いと言われているが、そういうのは乗りたくなかった。鳩山はハーバードビジネススクールを出ていて、はっきりとしたアメリカ人的な言い方をするので、乗らないことには反対された。
横浜市、気になる。セガサミーが筆頭株主になった2006年当時、セガ側がみなとみらいにテーマパークの構想をしていたため、サンリオキャラクターも来るかなと淡い期待をしていたが、計画自体がおじゃんになった。横浜市、がんばって。
- 新しいピューロランドになりますと言ったが、ピューロランド設立費用は償却済みなので、今後は入ってきたお金を投資に回せる。景気がよくなっても無駄遣いするのではなく、仲良くなることを大事にしてほしい。どうすればよいかは『菜根譚』を読んでください (会場笑)。
- 電通が入ってきて宣伝をするようになる。大枚というほどではないが大枚をはたいてたったの5日前からしか宣伝をしないのは変だとも思ったが、宣伝には疎いのでそういうものかのかと思うようにした。
- 従業員の教育も行っていき、お客さんからピューロランドが愛されるようになってもらいたい。サンリオも新体制で進めていく。苦情があればぜひ言ってください。仲良しを売り物にする会社を目指している。中国も韓国も北朝鮮も仲良くできるのではないか。韓国には友達がたくさんおり皆いい人だ。
- 散漫になって申し訳ないが今後ともご支援よろしくお願いします。(会場拍手)
長い文章を最後まで読んだ人へのご褒美として総会会場で行われていたグリーティングの写真も。今年は大型新人のぼんぼんりぼんがキティとメロディを引き連れてグリーティングに来てくれていた。
帰るときはメロディだけが置いてけぼりに。
- 機関投資家向けの2013年3月決算説明会の動画
- 江森常務 (53期決算実績・54期計画説明)、鳩山常務 (中期経営計画の進捗について)、辻社長 (この頃思うこと)、質疑応答
- 第52回(2012年6月)の株主総会メモ
- 第51回(2011年6月)の株主総会メモ