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消費税8%増税後の平日パスポート価格の比較

ピューロランドは2014年4月の増税に対してパスポートの価格を下げた。他施設のパスポートと価格を比較することでその意図を探ってみる。

ピューロランドの値下げにより平日の親子では競合と張り合える価格になった。特に1歳、2歳、4歳の子を持つ親子が平日に遊びに行く先としてピューロランドはとても魅力的なものになることだろう。有料下限年齢が引き下げられたことについては、表向きの理由のほかに、競合とする他施設を設定し直したことによるものだと推測される。

更新履歴

  • 2014-03-29
    • 初版
  • 2014-03-30
    • 4月以降も多摩市在住者は平日1000円となることを追記
  • 2014-04-04
    • 比較表で他施設の価格を更新
    • 平日でしか比較をしておらず、消費税はまた増えることになるので、記事タイトルを『増税後パスポート価格の比較』から『消費税8%増税後の平日パスポート価格の比較』に変更

今さら比較する理由

2014年4月以降の価格が公に発表されたのは2014年2月28日である。それに対して自分は『年間パスポート販売終了と期間限定平日パスポート発売についての憶測と要望』で最初の意見を書いた。それから1か月も遅れて通常のパスポートの価格を比較しようとした理由は3つある。

まず1つ目は、2014年3月下旬にピューロランド前でアンケートを実施しており、そのアンケート内容からすると他施設をかなり意識していることを感じたためである。次節で後述。

2つ目は mm さんが3月27日に『ピューロランド、値上げでしょ?』にて通常のパスポートをメインに書かれたこと。論旨としては、ピューロランドは値下げを歌っているが、無料となる年齢の上限が3歳から2歳に引き下げられているため、3歳の子を持つ親子にとって大幅な改悪になるというものである。自分も含め常連は年間パスポートの廃止についてばかり論じており、年間パスポートではない通常のパスポートについて述べている人が少なかった。年間パスポートのことよりも通常のパスポートのほうが多くのお客さんにとって、なおかつピューロランドの売り上げの面においても重要であるのにもかかわらずだ。そのため通常のパスポートについても触れておかないといけないと思った。

3つ目はどうでもいいことではあるが、ブログの最新記事を入れ替えるためである。アメブロのブログトップには最新記事が表示される。ここ最近で自分が書いた記事はというと、3月8日のシナモン晩餐会2014の誕生日プレゼントでシナモンへの誕生日プレゼントやお祝いメッセージを恥ずかしげもなく公開していた。特にお祝いメッセージなどはこっぱずかしい。恥ずかしければ Web での全体公開で書かずにシナモンに直接手紙を渡せと突っ込みを受けるかもしれないが、直接渡すとシナモンが返事を書かなければと思ってしまいかねないので、一方的に Web で書く形を取っている。それに自分は字も下手なので手紙はあまり書きたくない。そして、その恥ずかしいお祝いメッセージをブログトップから追いやるために書いたのが3月18日のキティと婚活パーティである。だがこれも恥ずかしいものである。婚活イベントというものはまだ世間の目が厳しく、婚活という言葉は披露宴では禁句とされ別の言葉に置き換えられるくらいだ。婚活目的ではなくキティに会いに行ったわけではあるが、ブログトップに婚活パーティに参加しましたと堂々と書いておくのもどうかなということで、3月27日に2008年度のピューロルームを書いた。しかしこれは就職活動におけるエントリーシートの中身や面接での受け答えを書いたものなので、さらに恥ずかしい。3連続で続いた恥の上塗りの悪循環を断ち切るために新たな記事を書く必要があった。

3つ目の理由が一番どうでもいいことなのだが、内容が言い訳なのでどうしても長くなる。ともかく重要なのは1番と2番である。

アンケート内容

2014年3月21日と22日にピューロランド前でアンケートが実施されていた。自分が観測した日だけなのでほかの日にも実施されていた可能性は高い。アンケートに答えると雑誌『ジュエルペットとあそぼ!』の付録となっていたジュエルペットの蛍光ペンがもらえる。

アンケートには以下の4つの設問がある。

  1. 誰と来たか
  2. 来場前に何を見たか (Webサイトや広告などの意味)
  3. 一年間で複数回行くところ
  4. 年齢層

この設問の中で3番の「一年間で複数回行くところ」というのが最も重要な設問だと感じた。なぜならば「複数回」のところにわざわざ下線を引いており、他には下線を引いていた箇所がなかった。

設問の選択肢は以下の関東の施設であった。競合施設の名前を列挙しており、ずいぶんと露骨なアンケートだ。

  • アンパンマンミュージアム
  • レゴランド
  • キッザニア
  • 八景島シーパラダイス
  • よみうりランド
  • 富士急ハイランド
  • 西武園ゆうえんち
  • 東京ディズニーランド / ディズニーシー
  • その他

想定顧客

ピューロランドにおける想定顧客は、旧経営体制では "20代30代の成人女性がメイン顧客" (2013-06-27 サンリオ第53回定時株主総会メモの懇親会) としていたが、新体制では "レジャーファミリー層" (2013-08-24 アフィリエイトプログラム説明会の顧客ターゲット) としているようだ。

レジャーファミリー層の中でも井上陽一COO (以下、ケビンさん) がよく主張をしていたのは、平日の親子だろう。特に記録には残していないが、ケビンさんとオンステージでお会いできた時の雑談では平日を重視したいことを何度もおっしゃっていた。また以下の発言もあった。

平日に来館する親子というと、自分の目視の範囲では母親1人と子1人が大多数に思える。平日だと父親は来られないことが多いし、少子化で子供も一人っ子が多いのだろう。その母親1人と子1人が平日に遊びに出かけるときに施設ごとの価格を比較することになるのだろうが、具体的な数値で比較表をまとめたものがなかったので作ってみることにした。

平日価格の比較表

アンケートにあった他施設とピューロランドの平日価格をまとめたものが以下の表である。

施設名 有料下限年齢 大人1人のみ 大人1人と子供1人
アンパンマンミュージアム 1 1500 3000
レゴランド 3 (2200) 4400
キッザニア 3 (1850) 5300
ピューロランド (新) 3 3300 5800
西武園ゆうえんち 3 3300 6100
よみうりランド 3 4000 7000
富士急ハイランド 3 5200 9000
ピューロランド (参考で旧入場券) 4 3000 5000
八景島シーパラダイス 4 5050 7100
ピューロランド (参考で旧パスポート) 4 4400 7700
東京ディズニーリゾート (片方のみ) 4 6400 10600

この表についての注釈は以下。

  • 消費税8%込みの価格
  • 平日と休日で価格が異なる場合は平日の価格
  • 入場券とパスポートが分かれている場合はパスポート価格
  • 前売り券やクーポンを使わずに当日の窓口で買える最安の組み合わせ
  • 子供料金が年齢により複数ある場合には有料となる最低の価格と年齢
  • 大人ではシニア割引などは不使用
  • 「大人1人のみ」の価格にかっこが付いているのは、大人だけまたは大人と無料の子供では入場ができない施設であり、参考で大人1人あたりの価格を記載している
  • ピューロランドのみ参考で旧価格体系の入場券とパスポートも消費税5%の税込で表に記載してある

表の見方は、アンパンマンミュージアムであれば、有料下限年齢である1歳よりも下の子供と大人一人だと1500円で、1歳以上の子供一人と大人一人では3000円、と読む。ソート順は「有料下限年齢」を昇順にし、次に「大人1人と子供1人」を昇順にしている。

ケビンさんはこの価格変更で "新しい年度は新しい料金体系にする事で、年間で入場者数10%〜15%の増加を見込んでいます" (2014-03-20 http://conpetti.com/Sanrio/?p=134) としている。

考察

先の表に基づき、ピューロランドだけでの新旧の比較、他施設との比較、具体的な年齢を仮定しての比較を行う。

ピューロランド内での比較

先ほどの表から新旧のピューロランドだけを抜き出してみる。

施設名 有料下限年齢 大人1人のみ 大人1人と子供1人
ピューロランド (新) 3 3300 5800
ピューロランド (参考で旧入場券) 4 3000 5000
ピューロランド (参考で旧パスポート) 4 4400 7700

有料となる年齢が4歳から3歳に引き下げられたことを考慮しないとすると、新パスポートは旧入場券よりやや高い程度に収まっている。ケビンさんによると "Joy券フリアト購入により実質9割以上の方がパスポート購入" (2014-03-08 https://twitter.com/gogokevingogo/status/441993464599674880) とのことである。旧入場券と新平日パスポートの価格差は一人当たり JOY5 の500円よりも小さいので、旧入場券との単純な比較では値上げではあっても実際の負担額はむしろ下がることだろう。

旧パスポートからの値下げ額はとても大きく、消費者に充分に訴求している。未就学児を抱えた主婦が平日に遊びに行くには今まで以上にピューロランドが魅力的に見えることだろう。

ただし有料となる年齢が引き下げられたことを忘れてはいけない。mm さんは引き下げについて大きく問題視している。

ピューロランドの値下げ提灯記事を至る所で見かけるんですけども
あんなもんはですねえ
ほんっと見せかけすっよ

実質は、チョー値上げっすよ
幼い子を持つ親からすっと
と、いうお話です。

なぜなら
入場無料枠が改悪だから!!!!!!!!!!!

この指摘については自分も同様に考えている。企業による記事では、まあいろいろな理由でこの点を伏せていることが多かろう。個人による記事ではアフィリエイトのために記事を書いているものが多く、この点を伏せているかそもそも知らなかったかだろう。

有料となる年齢を引き下げた点についてケビンさんは以下のことを述べていた。

確かにこれらは頷ける。ワークショップの強化、ふわふわキッズランドの延長、シアター入り口でシナリオの難しさの注意書き、パレードで山場をなくし恐怖感を抱かせないよう、などなど。

ただ私の推測では年齢の引き下げは、競合とする他施設を以前とは別のものに変更し、新しい競合との価格に合わせるものであると思っている。次の節で述べる。

他施設との比較

前節ではピューロランドだけでの新旧を比較したが、今度は他施設も含めて比較する。

二つ前に書いた大きいほうの表を見てもらいたい。可能なら別のウィンドウで並べて表示するといいだろう。値下げにより、表の並び順で八景島シーパラダイスと東京ディズニーリゾートの間にあった旧パスポートのピューロランドが、西武園ゆうえんちやよみうりランドよりも前に来るようになった。これの意図することはなんであるか。

あくまでも憶測ではあるが、市場におけるピューロランドのポジションを変更したことによる競合の変更だろう。具体的には一人勝ちのディズニーリゾートと戦うのではなく、キッザニアや西武園ゆうえんちやよみうりランドと戦うことにした。

「想定顧客」の節で書いたとおり、旧経営体制では成人女性をメインターゲットとしていたが、新体制ではファミリー層とした。成人女性の中には接客業をしていて平日が休みとなっている人が多数おり、それらの成人女性は平日に各種の施設に遊びに行きやすい。また就学前のファミリー層も平日に遊びに行きやすいことだろう。

旧ターゲットである成人女性がピューロランド以外で遊びに行くであろう施設をアンケートにあった施設から探すと、圧倒的に東京ディズニーリゾートだ。次点は大きく引き離されて八景島シーパラダイスくらいで、それ以外は眼中にもないだろう。一方で新ターゲットのファミリー層はアンケートにあった施設のどれにも行く。

ターゲットを変更したことで、競合とする施設が東京ディズニーリゾートのみではなくなり、他の各種施設も競合とするようになったのだろう。

特によみうりランドは地理的に近いだけでなく、東京の中心地からの路線が京王と小田急でかぶっており、どちらの場合もよみうりランドのほうが東京に近い。有料下限年齢が異なるとはいえ旧パスポートではよみうりランドよりも高くなっていたが、新パスポートでは有料下限年齢が同じになり値段が安くなっている。

次に西武園ゆうえんちは距離はやや離れていて電車で1時間強ではあるが、日曜にサンリオキャラクターが登場する施設であり来場者の目的がかぶりうる。西武園ゆうえんちもよみうりランドと似た価格設定であるため、価格については前段落と同じ比較結果となる。

このようにして、一強の東京ディズニーリゾートから顧客を奪うのではなく、まずは近隣のよみうりランドと西武園ゆうえんちから奪いにいっているのだろう。そのため価格設定を東京ディズニーリゾートのやや下とするのではなく、よみうりランドと西武園ゆうえんちのやや下とし、有料下限年齢を引き下げたと推測される。

(2014-03-30 追記) 近隣の強化は他にもあった。多摩市在住者の平日1000円が4月以降も続くようだ。2014年2月3日から3月20日まで多摩市在住を対象に平日のパスポートが1000円に値下げされていた。また3月30日と31日は春休み期間中ではあるが同様に多摩市在住者はパスポート1000円となっていた。まだ公式からアナウンスはないようだが、3月29日に実施されたキティ&しまじろうのモニュメント除幕式でケビンさんが多摩市在住者の1000円は4月以降の平日も実施することを発表していたようである。 (追記ここまで)

具体的な年齢を仮定しての比較

子供の年齢に具体値を設定し、親1人と子1人の場合の価格を比較してみる。

1歳と2歳の場合は以下の価格表となる。ピューロランドはアンパンマンミュージアムに次いで安い価格となる。有料下限年齢が同じのレゴランドとキッザニアは大人と無料の子供だけでは入場できないので比較対象外である。

施設名 有料下限年齢 大人1人のみ 大人1人と子供1人
アンパンマンミュージアム 1 3000
レゴランド 3 (2200)
キッザニア 3 (1850)
ピューロランド (新) 3 3300
西武園ゆうえんち 3 3300
よみうりランド 3 4000
富士急ハイランド 3 5200
ピューロランド (参考で旧入場券) 4 3000
八景島シーパラダイス 4 5050
ピューロランド (参考で旧パスポート) 4 4400
東京ディズニーリゾート (片方のみ) 4 6400

3歳の場合は以下の価格表となる。4歳から有料となる施設との比較されると苦しくなる。ピューロランド旧パスポートと比較しても大きく値上がりとなっている。mm さんの危惧どおりである。

施設名 有料下限年齢 大人1人のみ 大人1人と子供1人
アンパンマンミュージアム 1 3000
レゴランド 3 4400
キッザニア 3 5300
ピューロランド (新) 3 5800
西武園ゆうえんち 3 6100
よみうりランド 3 7000
富士急ハイランド 3 9000
ピューロランド (参考で旧入場券) 4 3000
八景島シーパラダイス 4 5050
ピューロランド (参考で旧パスポート) 4 4400
東京ディズニーリゾート (片方のみ) 4 6400

4歳の場合は以下の価格表となる。アンパンマンミュージアム、レゴランド、キッザニアには負けるものの、それ以外の施設よりかは安い。

施設名 有料下限年齢 大人1人のみ 大人1人と子供1人
アンパンマンミュージアム 1 3000
レゴランド 3 4400
キッザニア 3 5300
ピューロランド (新) 3 5800
西武園ゆうえんち 3 6100
よみうりランド 3 7000
富士急ハイランド 3 9000
ピューロランド (参考で旧入場券) 4 5000
八景島シーパラダイス 4 7100
ピューロランド (参考で旧パスポート) 4 7700
東京ディズニーリゾート (片方のみ) 4 10600

1歳、2歳、4歳にとってはピューロランドは相対的に魅力的な価格設定となっているが、3歳は相対的に残念なことになっている。3歳に対しては値段だけでなく中身で勝負していく必要があることだろう。

考慮に入れていない点

今回は平日でなおかつ親子で窓口正規価格というとても限られた状況でのみ比較を行った。全体で比較するには、休日の価格体系、他の顧客層、クーポンや前売券、年間パスポートまたは年間パスポートに類似するチケットといったものまで含めなければならない。それらを考慮したものは誰かに任せた。